海豚観戦日記🐬

バックグラウンドをベースにして書いているため戦術的なことはあまりありません!

“多摩川クラシコで得た結果以上の「もの」とは” 2019年 明治安田生命J1リーグ 第19節 vsFC東京(多摩川クラシコ) レビュー

先日行われた多摩川クラシコについてレビューを書きました(^^)

 

戦術論などの堅い話ではなく、あくまで個人的な感想をつらつらと書いたレビューなので気楽に読んでもらえるとありがたいです🙇‍♂️                          

(少し長いですが 笑)

 

では↓

 

目次

1.【背景】

2.【戻ってきた川崎のバンディエラ中村憲剛

3.【激化するボランチ競争】

4.【飢えている者たちの存在】

5.【左:車屋 右:登里】

6.【仕掛けない齋藤学

7.【頂点に立つ準備は整った】

 

【背景】

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今季、ホームで無類の強さを誇るFC東京のホーム味の素スタジアムに乗り込んだ我らが川崎フロンターレ

結果から言うと3-0の完封勝利。結果だけでなく内容も圧勝といった今シーズンここまでのベストゲームになったことは言うまでもないだろう。後付けすれば、ここまでホームで10勝1敗だったFC東京に対し、アウェイ7勝1分という我が軍が敵地での強さをより誇示するゲームとなった。

(我が軍→川崎フロンターレ)

 

では、今回の多摩川クラシコにおいて、タイトルにも示した、

多摩川クラシコで得た結果以上の「もの」”

とは一体何のことだったのか順を追って見ていきたい。

 

【戻ってきた川崎のバンディエラ中村憲剛

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90分間、気が付けば彼の姿を目で追っていた。

走って、走って、走って、、、

「言葉ではなく背中で」

そんな言葉がぴったり当てはまるだろう。

 

「求めるものは完璧な試合じゃない。勝つことだ。」

 

彼のこの姿勢はチームのベクトルを同じ方向に向かせることに成功した。

全員が意思統一できた瞬間だった。

いや、存在だった。

 

こうなった時の川崎はもう止められない。強かった。

 

今年で39歳を迎えるバンディエラはまだまだポジションを渡す気は無いようだ。

 

改めて中村憲剛というプロサッカー選手の偉大さを感じた試合だった。

 

【激化するボランチ競争】

 

フロンターレの心臓はボランチ

多くの人がこのことは心得ているだろう。

 

連覇した昨年は大島&守田が不動の存在として君臨していた。

今のJリーグでは間違いなくトップクラスのボランチコンビだろう。

 

正直に言えば別格だ。

 

だが、この大事な一戦に2人の姿はなかった。

大島は前節途中で負傷交代、守田に関してはコンデションがあまり上がらなかったようだ。

 

どっちにしてもこの状況はとても厳しかった。

昨年の末から頭角を現してきた田中を出すとしても相方は誰なのか?

本職トップ下の中村をボランチに下げざるを得ないのか?

 

結果、鬼木監督が選んだのはここまで出番がほとんどなかった下田だった。

 

昨年、湘南ベルマーレから移籍してきた万能型左利きボランチはこの試合で素晴らしい輝きを放ち、若武者の田中と共に見る者に強烈なインパクトを残した。

 

相手の攻撃の芽を「ここまでか、」と言わんばかりに摘み取り、

時には積極的に攻撃参加を繰り返した。

 

下田に関しては2アシストと攻撃においての結果も残した。

 

そして何よりも田中&下田コンビはしっかりと意思の疎通が図れていた。

 

1人が攻撃に行けばもう1人がリスク管理する。

 

当たり前のことながら、ほぼ1度もズレることなく遂行していたことに正直、驚いた。

 

ピンチヒッターコンビとはとても思えない素晴らしい出来だったのではないだろうか。

 

これからの2人の更なる成長には胸が高まるばかりだ。

 

そして大島と守田を脅かす存在になってくれることを大いに期待したい。

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【飢えている者たちの存在】

今節の2列目は久々に家長と長谷川がスタメンから外れた。

 

そこで起用されたのが阿部、並びに齋藤だ。

両者ともにここまで非常に出番は少なくモチベーション維持は難しかっただろう。

 

なんせ彼らはスタメンレベルの選手なのだから。

 

しかし腐ることなく練習試合でも結果を残し、この大一番に起用された。

 

当の試合ではゴールという結果を残し、攻守両面においても遺憾無く己の力を発揮した。

 

もちろん高い技術は兼ね備えている。

だが、努力が形として身を結んだのは

技術<メンタル 

なのではないか。

 

現在の序列はやはり家長と長谷川の方が上なのだ。

 

そんな中巡ってきた数少ないチャンス。

「何としても爪痕を...」

そんな思いがピッチの上からひしひしと伝わってきた。

 

無論、この2人は勝利の立役者と言っても過言ではないだろう。

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同時に家長と長谷川にも火がついたはずだ。

ますます2列目のポジション争いは激しくなっていくことだろう。

 

 

同様の事例がFWでも起きている。

エースの小林はこの日も1ゴール1アシストの活躍。

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プラスして前線からの守備は目を見張るものがあった。

十分すぎる役割を終えて85分にピッチを去った。

一見すれば小林の独壇場のように思える...

 

時は遡ることA 磐田戦、87分に投入された知念はわずか3分後の90分にダメ押しとなる3点目を決めた。

 

今回も同じように85分からという終盤の投入となった。

同じく小林との交代だ。

 

すると入ったばかりの知念が数分で決定機を迎える。

中村からのパスを受けた知念は左足で強烈なミドルを放つ。これはポストを叩き惜しくも入らなかった。

 

短い時間でも相手ゴールに迫れる知念。

 

小林の背中を追いかけ追い越す日がじりじりと迫っている。

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控えにはもう1人、元セレソンレアンドロ・ダミアンも控えている。

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恵まれた体格を生かした空中戦の強さと確かな足元の技術で加入初年度ながらゴールを幾つも挙げている。

だが、徐々に試合に絡む機会が減っているのはやはり連携面が問題だろう。

 

パスサッカーを志向する我が軍ではボールを放り込むということをあまりしない。よって個人のスタイルとチームのスタイルにギャップが生まれているのだ。

 

とは言いつつも圧倒的な個人技という面においては3人の中で群を抜いている。

 

出番がなかった多摩川クラシコの翌日に行われた町田ゼルビアとのTMでは2ゴールを奪って勝利に貢献している。

 

「周りとの連携」という壁を乗り越えることが出来ればスタメンで定着する日もそう遠くは無いはずだ。

 

それぞれ個性が違う3人が肩を並べた際、

さらに鬼木監督は頭を悩ませることとなるだろう。

 

【左:車屋  右:登里】

ここ最近、「右サイドバック」がフロンターレ内で物議を醸していた。

エウシーニョが移籍した穴を埋められる選手が見つからないのだ。

今シーズン一番多く起用されてきた馬渡がケガをしてしまったことによって、より浮き彫りになったしまった穴。

 

そんな中、誕生したのが右サイドバック車屋である。

 

左サイドを主戦場とし、左利きである車屋がしばらく使われることになった。

 

「これが成功したのか?」と言われれば、お世辞にも首を縦に振ることはできない。

守備においては難なくこなしていたように見えたが、攻撃においては全くと言っていいほど機能はしなかった。

 

車屋のやりにくさが見ている側にも伝わってくるぐらいだ。

 

特に今の我が軍は右サイドの家長が中でゲームを作る分、右サイドバックの攻撃参加が非常に重要なのだ。

実際の試合でそれが顕著に現れたのがH鳥栖戦。

最後までゴールを奪うことが出来なかった。

 

そして迎えた多摩川クラシコ

車屋の代わりを務めていた左サイドバックの登里と車屋の位置を逆にするという戦術を試みた。

このシンプルな入れ替えが見事にハマった。

車屋はこれまでの経験から当然と言わんばかりの対人の強さを見せつけた。攻撃においても上下運動を繰り返し、齋藤の動きに合わせて左サイドを駆け上がる姿は

「水を得た魚」

のようだった。

 

対する登里も素晴らしい危機察知能力に加え、スピードとパワーで相手の攻撃をシャットアウトし続けた。

時には、推進力をもって単独で相手陣地深くまで持ち上がるプレーも見せた。

 

こんな簡潔な説明ではあるが、

左:車屋 右:登里

という意味が分かってもらえただろうか?

 

【仕掛けない齋藤学

解説の水沼貴史DAZN中継で齋藤学

「いつになったら仕掛けるのか。」

そんなニュアンスのことを度々口にしていた。

 

最初に仕掛けるチャンスが巡ってきたのは前半19分。先制点が生まれるワンプレー前のことだ。

 

自陣からのカウンターのような形で中央へ切り込んできた阿部からのパスを受けた齋藤は得意の角度で相手と1対1になった。

しかし齋藤が選んだのは中の小林への左足でのクロスだった。

これが相手は当たりゴールラインを割ってしまったが、ご存知の通り先制点を挙げたコーナーキックへと繋がった。

 

「これは伏線ではないか?」

「次は勝負するのではないか?」

「いやこの次こそは仕掛けるだろう?」

 

そんな期待をサポーターに抱かせたまま齋藤はピッチを後にした。

 

しかし私たちの想像している齋藤は横浜F・マリノス時代の齋藤だった。

キレのあるドリブルで切れ込みカットインからシュート、時にはアシストも決める。横浜では言わばピッチの王様だったのかもしれない。

 

 

今シーズンの始まる前か、いつか、

「サッカーを改めて勉強した。」

そんなことを齋藤は口にしていた。

横浜での自分と川崎での自分では役割がまるで違う。

そんなことを感じた2018年だったのだろう。

 

勝負する齋藤が見たいと言う人も多いだろう。

 

しかし、彼はどんな気持ちで川崎に移籍してきたのか思い出してもらいたい。

あれだけの誹謗中傷を含めたバッシングを受けることは分かっていながらも移籍を決断したのだ。相当な覚悟が必要ではないか。

(横浜→川崎)

の齋藤はもういない。

横浜に過去の自分も置いてきたのだ。

今は無色の齋藤。

だったら、私たちが染め上げようではないか。

という新しい色に。

齋藤学という男を。

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【頂点に立つ準備は整った】

「ターニングポイント」

そんな試合が我が軍には必要なようだ。

昨年のA 柏戦、GW期間にチームは数年ぶりの連敗を喫した。

そんな最中、日立台で迎えた試合だった。

試合は前半に先制を許し、またも苦しい展開に。

「3連敗」という言葉が頭をよぎった人もいただろう。

 

しかし、チームはぶれなかった。

 

前線からのプレスを積極的にかけ、エース小林の同点弾、試合終了間際にはJ1初出場、鈴木のゴールでひっくり返したのだ。

 

この試合をきっかけにチームは好調の波に乗って得意の夏場を駆け上がって行った。

 

その後は周知の通りJ1リーグ連覇を果たすことになる。

 

 

今シーズンはこの多摩川クラシコの勝利

「ターニングポイント」となるかもしれない。

いや、なるだろう。

ここまでの話から、そう成りうる要素は十分すぎるほど整っているのではないか。

 

繰り返しにはなるが、何よりもこの試合では「選手層の厚さ」を実感できる試合になった。

「誰が出ても同じサッカーを」

もはや我が軍の選手の口癖と化している。

本当の強敵は「サブ組」ではないか?

そんな事すら考えてしまう次第だ。

 

 

結びにはなるが、ここでこのレビューの最大のキーワードとなるであろう言葉を初めて記すことになる。

「首位」

私たちは今、J1リーグで最も勢いのある相手を倒したのだ。

それも相手が白旗をあげるほど完膚なきまでに。

 

そして皮肉なことに

「首位東京」 「多摩川クラシコ

この2つのキーワードが「真のフロンターレ」の姿を垣間見させてくれた。

すなわち、「強いフロンターレが戻ってきたというような感覚が味の素スタジアム全体に漂った。

 

「勝って兜の緒を締めよ」

 

そんな諺がある。

無論、何も言うことは無い。

その通りなのだ。

 

私たちは首位撃破という「最高の結果」を手に入れた。

だが、結果よりも大きく、次へ繋がる

「自信」

を手に入れることが出来たのだ。

勝った後で気は引き締めなければならないが「自信」を得たことは素直に喜ぶべきであろう。

これが私の考える結果以上の「もの」である。

 

 

シーズンの後半戦はまだ始まったばかりだ。

ここから自信を手にした

強いフロンターレ反撃が始まる。

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